浦山川細久保谷 |
グミの滝 |
地形図を眺めていくと、東京都と埼玉県の県境、長沢背稜の北にポツンとひとつ存在する滝の記号が見つかる.
名前もかかれていないこの滝、前々から気がかりな存在であった.
最上流部に位置するから、尾根から降りれそうには感じるのであるのだが、周辺には歩道は一切見当たらないだけに、 ちょっと出かける気になれなかった. その後、「水と樹へ」という本に開くとグミの滝というのがあって、この滝のようだった.秩父、浦山側からルートがあって登っていける ようである.しかし道の状態はわからないし、林道歩きも長いから、いざ出かけてみたら行けずにもどるというのも悔しいので、もう少し 情報が得られるのを待つことにした.それから早くも2年が経過している。 昨年購入した「雲取山の歩き方」という本には、「東日原から天目山を経て金倉橋」というコースが紹介されていた.グミの滝の 写真も載っている.予想していたとおり、尾根から下る道はあったのである.1998年に出版された登山案内だから信頼性は高い. これでこの滝を見れる見込みが立った.新緑の季節を待ち出かけることになった. 私にとって、ヨコスズ尾根はよく使いなれた場所、頭の中で前半は歩き終えたようなもの、一杯水小屋から秩父側の部分は 未知とはいえ下りだから道さえあれば気楽な散策となる.浦山側のバス時刻を調べ、17時に金倉橋に着く予定でいくことにした. 所要時間を逆算していき、東日原の出発は、11時になった. 東日原でバスを降り、登りにかかる.遅い出発であって体も調子も絶好だ.登り始めで気の滅入るヨコスズ尾根の急坂の足取りも今日は軽い. 休み休みここを登ってきた、これまでの記憶が思い浮べてみては、つらかった経験を楽しむほど精神的にも余裕がある.切り返しの数も数えていくと、 それは延々と続いているようなものではなく、たったの5回で終わった. 緑萌える尾根上を歩き続け、程なくここも新緑に囲まれた一杯水避難小屋に着く.仙元峠に向かう植林中の道は、落葉 の恩恵がないから、冬でも春でも薄暗い.その中に、変らず一杯水がか細く湧き出ている. その先に立つ標柱の隣が、秩父への入口である.本で紹介されているくらいだから、利用者はあるようで、踏跡を辿れた. 沢の源頭を切り返しながら下っていく.荒れた作業道にぶつかり、直進もできそうだから、進路を迷ったが、右手を進むことにした. 植林中の下り、水音は下の方から聞こえてくる.水を得た沢に出るのも近い. 沢の二俣に向かう細い尾根を降りて、沢の右岸を進む.放置されたわさび田の脇をすぎ、次のわさび 田跡で流れを跨ぎ左岸に出る.ここから作業道ははっきりしていて、道を失っていなかったことが知れて一安心だが、道が使われ ている気配はない. 激しい水音に谷側を覗きこめば、グミの滝が流れ落ちている.ここをそのまま滝に下ることも可能なように思えるが、本にしたがって 下流から遡ることにした.崩れおちた踏跡を辿り、足元の悪い伐採跡を下ると、沢に出る.沢を這い登ると、滝の直前にでた. 時間はたっぷりあるから、ゆっくり鑑賞することができた.ここから先は林道に向けて作業道を下るだけであるし、 秩父側から登ってくれば容易な場所であったと考え始めたとき、やはりそう簡単ではないことを思い知らされる.枝沢の部分がそっくり 崩れ落ち、道は途絶えてしまっている. 踏跡を探してもはっきりしない.ここでは訪問者に共通の解決法はないようだ.続きはあるはずだから、沢に下り登りなおすしかないだろう. 小木に体重を任せ、急斜面を谷に下る.下流で斜面を這い上がると、当然のように作業道は続いていた. 歩道を終え、林道を歩きつづけると、川俣に出た. |
滝入ノ峰は東側を巻く. |
尾根は、倉沢谷とカロー谷双方から削られ細くなっている. |
ヨコスズ尾根上からみた石尾根. |
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歩道脇の木々は低くなり、彩りも美しい.笹の道を進むと、避難小屋に着く. |
一杯水避難小屋 |
細久保谷に向けて下り始める. |
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ほとんど同じ水量の2つの流れが合流している浦山川俣. |
訪問のために
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奥多摩駅 >>30分(バス)>> 東日原 >>20分>> 分岐(スイッチバック終わる) >>40分>>一杯水避難小屋 >>5分>> 標柱(細倉谷への踏跡) >>15分>> 分岐 >>25分>>
グミの滝 >>15分>>崩壊地>>25分>>林道>>15分>>シゴー平(小屋) >>35分>>川俣橋>>10分>>金倉橋バス停>>25分(バス)>>西武秩父駅前バス停 |
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