屋久島へ行くには
屋久島は九州の南端佐多岬から南へ70kmの洋上にあり、
鹿児島より空路、高速船、フェリーのいずれかを使用して渡ることになります.
空路は、鹿児島空港より日本エアーコミュータが屋久島便を運航していて、ターボプラップ機が1日5便が運航されています.シートが少ないので早めの予
約が確実でしょう.飛行時間は35分と短く、渡島時間を節約することができますので、空路鹿児島へ向かうのであれば、そのまま乗り継いで屋久島
まで渡ってしまうのがベストです.
九州新幹線が通じた鹿児島中央駅、JRなどで鹿児島へ向かうのであれば、鹿児島空港は駅前からバスで40分ほどかかりますので、空路を選ぶメリットはあり
ません.鹿児島港は駅からさほど時間を要しないので、2時間(直行便)から3時間(種子島経由便)で渡れるジェットフォイルを選択するのが
普通です.屋久島行きは、トッピー、ロケットと2社により競合して運航されているので、運航本数も多く運賃も安価です.予約が必要です
ので、旅の日程にあわせて便を決め予約を入れます.
島にクルマやバイクを持っていきたいのであれば、選択肢はフェリーになります.フェリー屋久島2は鹿児島港南埠頭を朝出航し、4時間弱を要する航路で、
昼過ぎ屋久島の宮之浦港に接岸します.偶数日のみ運航されている、はいびすかす屋久島便は、夕方鹿児島港を出航し、種子島経由で翌朝宮之浦港に着きます.
島内の交通手段 屋久島は、 周囲100kmあまり離島としては比較的広いほうであり、島を一周する道路も整備されていることから、離島としてはバス網が整っているといえます. 西部林道のようにバスの運行がない場所もありますし、短時間で島の隅々まで見たいのであれば、自由に動けるクルマは必需品です. 航送よりは、空港などでレンタカーを借りるべきでしょう.宮之浦や安房など、島内の拠点からはタクシーの利用も容易です.ただ、観光や登山の対象地 域の多くは、これらの町とかなり離れていますので相当な出費を覚悟しなければなりません.
観光と山
今では信じられないことですが、鹿児島県の離島ゆえに
東京などから手軽に出かけられる場所とはいえず、かつて屋久島はそれほど知られてはいませんでした.はじめて私がこの島を訪れたのは80年代末のことですが、そのとき友人の
間でこの島を知っている人はほとんどなく、訪れたことのある人は皆無でした.
1993年、この島の森林生態系が世界遺産に登録されると屋久島の名は一躍広まりました.今では国内で最も有名な離島といえるかもしれません.
知名度の上昇は、ツアー観光の対象としても選ばれるようになり一度は訪れたい観光の島として訪問者を増やしました.また、この島の観光産業は、目的を持った訪問者の増加によ
っても支えられ発展してきたといえます.自然遺産の名と直結した、この島のシンボルである縄文杉、この老樹をみたい訪問者の増加で、大株歩道は込み合うほどになっていますし、
90年代からの百名山ブームはその一山である宮之浦岳の登山者を急増させて、オーバーユース問題も生じています.
屋久島は、景勝観光としても魅力のある島です.奥岳に発した水量が豊かな激しい流れが大洋に接する安房川や宮之浦川の河口部は、水の島である屋久島を物語る風景で、
私のお気に入りです.これらの川の水源部には人を寄せ付けない荒々しい急流があるわけですが、そのことを思い浮かべるのが難しいほど、河口部では穏やかな水面
を見せます.動であっても静であっても魅せられるのが水景.もし、屋久島で動の側面を見たいなら、つきなみな観光地になっている大川の滝を訪問するのも
良いかもしれません.水しぶきを存分に浴びることのできるこの滝の前に立てば、水の島屋久島を作るその沢の力強さ
を強く印象づけられるはずです.
山頂部の奇妙な巨岩や鋭い岩壁、屋久島の山岳景観と花崗岩は切ることので
きない関係にありますが、これらは本格的に登山をしなければ見ることができないので観光の対象とはなりえません.幸いにも、特徴のあるモッチョム岳や愛子岳などのピークはふもとからも眺望できますし、手軽に花崗岩の造形の雄大さ
を見物するのであれば、千尋の滝が優れています.また、屋久島灯台から見下ろす海岸をお勧めします.
ここに立つと屋久島が大洋に浮かぶ花崗岩の島であることを実感でき、西部林道と合わせてぜひ訪問したい場所です.
縄文杉を筆頭とした、森の島の主はヤクスギ、簡単に訪れることのできるのは白谷 雲水峡やヤクスギランドにあるもので、訪問は散策の範囲です.さらに困難を求め、屋久島の自然に深くふれてみたければ、縄文杉までの大株歩道を訪れることになります.木道も整備され 歩きやすくなりましたが、丸々1日を要する山中の行程となりますので、あらかじめ十分な予定を立てて出発してください. わすれがちですが、屋久島の森の主役はヤクスギのみではありません.世界遺産の対象となった西部林道周辺の照葉樹林の 美しさも格別です.
そして、より深く屋久島に浸り、自然を楽しみたいのであれば山に入るべきです.
縄文杉のある大株歩道、その先には、九州最高峰でもある宮之浦岳を初めと
する奥岳の峰々に続く宮之浦歩道があります.縄文杉を訪問しさらに先に進むこともできますが、通常はこれら奥岳に登るに
は、反対側の安房林道淀川口から入ります.宮之浦岳山頂まで6時間ほど、足に自信があれば日帰り往復もできますが、新高塚小屋で泊まり大株歩道側に下る1泊2日の訪問が一般的です.
屋久島には無人の非難小屋しかありませんので、必要な装備すべてを背負っての縦走となりますので、準備はおこたりなく.
苔に覆われた林床、運よく天候に恵まれれば奇岩の乗ったヤクザサの峰々と広い眺望、洋上アルプス山の島を存分に楽しめます.
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