秩父盆地を流れる荒川は、秩父鉄道の終着、三峰口駅のあたりでは、もう深い谷の底にその流れをみるようになる. 駅を出たバスは、この深い谷にかけられた橋を越え、対岸の国道142号線川沿いに登り始めると、まもなく大滝村に入る. 大滝村の栃本は、荒川本流の最上流部にある集落、奥地の寒村の面影を今に残す. この集落の対岸、白石山の北側に不動の滝が流れ落ちている大除沢がある. | |||||
大除沢の滝 上段と中段 | |||||
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秩父一の名瀑といえば、日本の滝100選に選ばれている丸神の滝を挙げなくてはならないだろう.
大除沢を地形図で探してみれば、丸神の滝のちょうど南に位置している. 秩父の滝は繊細な表情のものが多いのだろうか. この不動の滝も、流れの細い丸神の滝に比べれば水量は多く、荒々しく感じるはずであるのだが、岩肌を複雑に流れる水の生み出 す景観の調和はきめ細かさを持っている.あたりの風景ともよく一致していて、写真写りの良い被写体でもあるだろう. この滝を訪れるにあたって、秩父湖から歩くことにした.三峰口から出ているバスの終点、秩父湖バス停で降りる.みやげも の屋の奥からは、湖岸を歩くための遊歩道がつけられている.歩き始めると小さなトンネルがあり、これを越えると二瀬ダムの直前 に出る.駒ヶ滝トンネルから出てきた三峰山観光道路はダムの上を通って対岸を登っていっている.車道を上流に向けて歩いてい くとふたたび湖岸につけられた遊歩道が現れる.この歩道は時に中断していたりするのであるが、前方にみえる吊橋まで続いている. 1時間弱で吊橋の元についた.私が訪れたときには、スズメバチのために、この吊橋は歩行禁止になっていた. 吊橋を後に、さらに上流に向かって車道を登っていくと湖面は消え、河原に堰堤が作られている.秩父湖の最上部であることは、 道路脇に建てられた、河川管理者の境界を示す標識からわかる.河畔の林に邪魔されて、対岸は見づらいが、木々の隙間から 滝の落下しているのを確認できた.吊橋を出てから30分、道端に不動の滝の入口の東屋が建てられている.ここから滝までは10分ほ どである. 川底に向けて急な坂を下ると、吊橋で対岸に渡れる.今度はつづら折になった林間の歩道を登っていく.山道との分岐があり、 標識にしたがって滝の方向に進むと、すぐに数段続くコンクリートの階段が現れる.この上に不動尊が祀られている.また階段から後ろを ふり返ると対岸の斜面に栃本の集落が見える.不動尊のベンチを越えると、滝が見えるようになる. 滝の前には1本の大木が立っている.大木の根元が上段の滝を観賞するのに良い. 下流側に目をやれば、緩い傾斜の中段の流れが滝壺に向かって滑り落ちていくのが見える.下段を見るには沢沿いに少し下る必要があ る.注意しないと沢に転落してしまいそうなルートであるが踏跡もあり難しくはないから、見ておくべきだと思う. |
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