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10000mmもあるという屋久島山岳地域の降水量.奥岳に降り注いだ雨水は、谷に集まり一機に駆け下って、 海に吐き出されます.エネルギーに満ちた谷の水の流れは、山塊を構成する花崗岩を削りあげ、屋久島の河川では、山中いたるところに滝 が懸かっています.険しい沢の奥に隠されているこれらの滝の多くは訪れることが不可能ですが、 川の末端部、誰もが容易にいくことの できる場所にある3つの滝だけは島の観光名所となっています. |
千尋の滝 |
トロ沖の滝 |
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その他の滝 | ||
私はまだ訪問したことがないのであるが、尾之間(オノアイダ)温泉から淀川(ヨドコウ)に登る尾之間歩道の途中に、
蛇之口滝という滝がある.また湯泊歩道の途中にも、湯川大滝の展望所があって、これらはいずれも道があるので訪れることはできると思う.
一方、よく知られていながら、訪問が難しいのは安房川の千尋の滝、沢を登らない限り間近でみることはできないようだ.先日手に入れた、 「屋久島の自然」という古い写真集では、中島権現岩の下にあるので中島権現滝とも呼ばれているとの解説と写真が載っていて、私は初めてその姿を知 ることができた. 屋久島の川は急勾配であり、花崗岩の上を流れているから、沢に入れば大規模ば岩の造形物はいたるところで見られるようである. 山岳案内書「屋久島の山岳」を開くと、沢登りによって出会えるはずの数々の滝を掲載があって息を呑むので あるが、屋久島の沢を遡行するのは困難だ. 見たいけれど見れない屋久島の秘瀑ナンバーワンは、宮之浦川の竜王滝であろうか.100メートル以上の高さと、両岸を岩で狭められた谷にかかる美しい 滝であるという.フォールナンバーは13、そこまで辿りつける可能性はまったくない.この沢を登って百名山めぐりで混雑している宮之浦岳の縦走路に達するま でには、F51まで越えなければならない.宮之浦川の遡行は、沢に熟達したものであっても容易ではないことであろう.そんな幻の滝、柏瀬祐之氏 の「南の島の白い谷」の遡行紀は、氏独特の軽やかな文体で書かれていて、現実の姿を反映していないと 思えるほど明るい谷が描かれていて味わい深い.志水 哲也の写真集日本の幻の滝に、 この滝の美しい姿が載っている. |