馬頭刈尾根は、大岳山から南東に向けて伸びる尾根である.鍾乳洞と滝の道と名づけられた、関東ふれあいの路は、この尾根をまたぐようにつけられている.
スタートは、払沢の滝バス停、北秋川橋を渡り千足集落に向けて車道を歩く.やすらぎの里入口の桃源橋の上からは、これから登る尾根の見通しが良い.
千足に入り商店の先を折れ、桧原神社の脇をとおって傾斜を増す車道を登っていく.柳沢林道の基点が現れ、まだ新しいコンクリートの路面を
進むと橋を渡って林道は終わる.
歩道は植林中を登っていく巻き道と分岐している.天狗滝に向かう左側を進むと小さな滝に出る.天狗滝はこの上にあり、左から登り下ったところが
天狗滝である.滝の流れ自体はそれほど迫力のあるわけでもなく、滝壷もないのであるが、天狗岩と一体になった眺めはなかなか荒々しくて、
私はけっこう、この滝が好きである.
左岸の階段状の急坂をよじ登れば巻き道に合流し、次の綾滝に進む.天狗滝の上の沢は勾配はゆるく、心細い流れをさかのぼって歩道は続く.
いつもならさらさらという音とともに現れる綾滝も、機の縦糸は水少ない今日は苔に途切れている.
ここから尾根上に乗っかったつづら岩までは、スイッチバックを繰り返す苦しい区間であり、意外と時間がかかる.
馬頭刈尾根の分岐に出て、すぐ上につづら岩がある.
冬の冷たい風を受けながら立つ高さ三〇メートルほどの岩壁の先の
すき透った空を、一人こっそり楽しめた心持を楽しみここを後にする.
鉄はしごを登り、木段のついた尾根を登っていくと小さなピークに達する.
大岳山が見えてくる.すぐ次のピークが富士見台で、西側は切り開かれて小さなスペースがある.
正面にとがった大岳山とそこから南に向かう尾根、その馬頭刈尾根は手前に続きここに達している.
平坦な歩道を西に向かうと、ベンチがあって、展望が良い.次のピークを超えると、大滝の分岐に出た.沢に下る道は急だ.
まもなく水のある沢に出て、さらに沢に沿って下っていくと、岩に阻まれ谷幅が狭まる.
その下に大滝沢の大滝がさびしく水音を響かせていた.
橋を渡って車道に出、鍾乳洞、砕石場をやり過ごし足早に進めば、
三〇分ほど.赤い欄干、大滝橋の元に大岳鍾乳洞入口のバス停は立っていた.
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