奥多摩に向かう電車が軍畑駅を出ると、本の一時だが多摩川の下流側には、オレンジ色のアーチ橋が架かっているの
が遠望できる.両岸を被う緑一色の中、それをまたぐオレンジ色のアーチは目を引く対象だ.この橋が奥多摩橋で、多摩川の多くの橋の中で最も美しい橋だ. まずは、渡ってみることにした.青梅側一つ前の二俣尾駅で下車して歩き出す.駅の左手で青梅街道から分かれ、対岸の柚木地区に向かう道路がこの橋によって多摩川を渡たる. 実際に歩いてみると、まず橋まで直線思っていたよりもずいぶん小さな橋であった. 上路アーチ橋ゆえに渡りながらその構造を見ることはできない.もし、じっくり鑑賞したいならアーチ部分を真正面にすえて見上げることのできる河川敷に降りるしかない.そしてその見上げ た姿を思い出しながら渡るしかないのである.今足をおいている場所は、あの恐ろしく高い場所にあったか細い構造物の上であるんだ.心に思い描いて楽しむことになる. 幅の狭さは、架けられたのが昭和14年であるというこの橋の歴史を物語っているのだろう.車を渡すために作られたのだけれど、車はまだ橋の主客というほど普及してはいなかったこと だろうから2車線は不要だったのだ.平成となって走路部分は改修されたというから、車道の脇に設けられた展望スペースなどはこのとき追加されたようだ. 欄干に立ち川底をのぞきこんでみることにした.過重を支えているアーチ構造からはみ出た場所に私は今立っていると思うと心臓は高鳴ってくる.私のイメージしてきたとおり、この橋はかなり 高いところに架かっているのだ.欄干を片手で握りしめ、もう一度川底を覗き込んでみると、派手な塗装でゴチャゴチャ組み合わさった鋼の構造物が見え、そのはるか下には硬く平板な河原が広がっ ているのが見えた. | |||
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奥多摩橋 |
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