早戸大滝、神奈川県では山北町にある酒水の時とともに日本の滝100選に選ばれていて、滝好きの間ではよく知られた名前である.
一方、幻の滝とよばれていたりしていて、首都圏に暮らすものにとってもその姿どころかそのありかさえ知る人は少ない. 早戸大滝のある早戸川は、相模川の支流である中津川の源流であり、蛭ケ岳から丹沢三峰の間、丹沢山塊の北東部の水を集め宮ケ瀬湖に流入している. 支谷の大滝沢は丹沢山の北に源をもち早戸大滝は、この沢が本谷に流れ込む場所にある. 訪問するには、宮ケ瀬湖から早戸川に沿ってさかのぼる.途中の丹沢観光センターまで道路が通い、そこから先は作業道を伝ったのち、沢底に降りて 流れに足を踏み入れることになる.山塊のかなり奥まった場所にある上、沢の遡行を要するから訪問者は極端に少ない.それゆえ、宮ケ瀬ダムの完成によってすっかり観光地 となってしまったこの一帯にあってさえ、雨乞いが行われた場所という伝えにふさわしく、源流部にその荒々しくも美しい姿を隠しつづけている感じだ. | ||||||||
早戸大滝 [Hayato ohtaki] | ||||||||
散策について |
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秘瀑ゆえに、この滝の散策は注意が必要である.林道を終えて、歩道に入ってから先のルートの半分は歩道であるが、残りの部分は沢底の踏み跡を辿ることになる. 通常のハイキングコースのような道標は期待できないから、自分で地形図と照合しながらルートを判断していく必要がある.もし、踏み跡を見失ってしまった場合には、頼りになるのは地形 図で、2万5千分の1の地形図は必須だ.地形図に表記された歩道と現在のルートは必ずしも一致していないので注意してほしい.また、沢を遡行することになるから徒渉点があり、増水 時の散策は不可能だ. | ||||||||
青野原・大山 大山 | ||||||||
行程 |
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アプローチ 公共交通機関を使ってアプローチするのであれば、最寄りのバス停は、宮ケ瀬ダム虹の大橋の付け根に並ぶみやげ物屋 の一角にある宮ケ瀬である.小田急本厚木駅か、JR横浜線橋本駅からバスが出ている.橋本駅のバスは途中三ヶ木で乗り換え宮ケ瀬行きに乗る. | ||||||||
神奈川中央交通 | ||||||||
バス停を出て、まずは早戸川が注いでいる宮ケ瀬湖の最奥部まで歩かなければならない.虹の大橋の元にあるガソリンスタンドの横から湖南岸の車道を歩き、 約1時間で青い鉄橋の早戸川橋に着く.ここから、川沿いに林道をさかのぼっていくことになる.丹沢観光センターの前で舗装された道路は終わって、車止めがある. 直径数十センチもあるような落石が散乱する荒廃した林道を歩いていくと、早戸大滝散策の起点を示す案内板にやっとたどりつく.この案内図によれば、このあたりが伝道と呼ばれている場所のようだ.書かれている内容を手帳に書き取って出発する.これから先のルートについて、少ない手がかりだ. 歩道に入る 案内板の裏よりルートは始まる.林道はまだ100mほど先まで続いているがこちらからは歩道に入ることはできない.支流の小さな沢を 越え、急な登りを登り切ると道は平坦になる.次の谷は大きく巻いて、その先に林業小屋が現れる.しだいに沢の音が大きくなってきて、急な下り道で早戸川本流の 川原に出た.対岸に案内図にもあった丸太橋(実際は下の写真のように丸太ではない)が架かっている.橋を渡り右岸を進むと、2つめの橋が現れ、ルートは左岸に 戻る.このあたりから歩道は消えていって、川原の踏跡を確認しながら、ところどころに積まれたケルンを頼りとすることになる. 大滝へ 左岸をそのまま進むと雷滝のある原小屋沢に入ってしまうので、大滝のある本谷沢を探さなければならない.案内図に雷平と書かれていた あたりになるが、特に目立つ特徴はないので地形図と照合しながら少しずつ進み、本谷沢の出合いを見つけて徒渉することになった.沢の左岸に大滝への 踏み跡が残されていて、ところどころに残された赤テープが唯一の手掛かりである.もし赤テープが消えてしまったら、徒渉地点を見逃していないか対岸をよく確認すべきだ. 私の訪れた時には、大滝沢に入るまでに6回徒渉があった. 20分も歩くとそろそろ滝の現れそうな雰囲気がしてくる.本谷沢と大滝沢の出合いが現れて、左側から流れ込む大滝沢に入れば大滝の音が聞こえてくる.右岸にロープが 掛けられていて、これをつたって登ると滝のすぐ元までたどりつくことができた.私の足では、大橋を出てから案内板までのアプローチに2時間、大滝まで約1時間、片道3時間 の道のりであった. 雷滝へ 大滝の観賞を終えたら、往路の道筋をそのまま原小屋沢との出合いのある雷平まで戻る.一度通っているだけに、帰りのルートは容易に見つか った.出合いから原小屋沢の左岸を遡行していくと、右岸から沢が流れ込むあたりまでは踏み跡ははっきりしている.このあたりで原小屋沢は右に大きく曲がっていき、 大きな岩塊が滝を作っている.左岸を巻いていくと前方に白いガレが見え、ここで右岸に徒渉した.決まったルートはないが注意していれば踏み跡をたどることは可能だろう. 右岸に移り白色のガレの元までのぼり、散乱した落石の上に立てば、雷滝がその姿を見せていた. |
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