多摩川の流れに沿って進む国道411号、白丸を過ぎるとせり出すゴンザス尾根を避け南に大きく曲がっていく。 このゴンザス尾根などの多摩川岸に向けた尾根を出しているのが本仁田山で、その姿は台形である。この山に登る いずれのルートも山頂部に達するためには急な登りがあり、稜線部までは植林の中が中心とあって、やや出かける のを躊躇する山でもあるが、その手ごろな標高、駅から近いことから短時間で登れ、訪問者は多い。
コースは、鳩ノ巣駅から登る杉ノ殿尾根と奥多摩駅よりアプローチできる安寺沢林道に基点をもつ大休場尾根が 一般的に利用されている。また、川乗山から鋸尾根を南下、大ダワから登る縦走コースの利用者も多く、奥多摩駅に 下れることから、川乗山からの帰路として立ち寄る登山者も多い。
そのほかにも、一般的といえないが、鳩ノ巣駅か ら辿る花折戸尾根、奥多摩駅よりゴンザス尾根を登っていくルートもあって、登路のバリエーションに富んでいるこ とから、山行ごとにルートの組み合わせを楽しむこともできる。
鳩ノ巣駅は、南側からの川乗山登山の入口である。駅から踏み切りを越え、青梅線北の斜面に 広がる棚沢集落の中の急な車道を登っていくと、突き当たりになる正法院のところで、西に向 けて歩道が始まる。
まもなく、西川の流れる谷側に出て視界が開ける。再び植林の中の暗い道に入れば、川乗山 の船井戸に向かう歩道と、これから辿る大ダワに向かう歩道が分かれている大根山の神につく。
左上に鳩ノ巣から上がってきた西川林道があって、この車道の向かいに、大ダワ方面の歩道入 口がある。植林の中の登りを進むとやや平坦なところに出て、すぐにコブタカ山への分岐が現れ た。コブタカ(瘤高)山は、大ダワの南側にあるピークで、ここに向けて尾根沿いに登っていく のが、この杉ノ殿尾根ルートである.それほど道の状態はよくないが、おそらく本仁田山へのメ インコースといえるであろう。
このルートは尾根の背に沿った急な登りであり、植林の中見通しもきかず楽しいものではない。 ひたすら登っていくと、前方の樹間に空も見えてきて稜線が近いのに気づく。この稜線に達する とルートは北西に折れていく。
稜線上の平坦な道に入りしばらくすると再び急な登りとなった。この部分の登りを終えれば 植林中の歩道となり防火帯に出る。
左に防火帯を進むと、前方コブタカ山に向けて防火帯が登っていくのが見える。左手には本仁 田山の山頂部も見えている。コブタカ山山頂への最終部分は急な防火帯の登りであり、切り開か れている背後には平野部まで眺望があった。
コブタカ山の山頂には、北の大ダワから登ってくる歩道が合わさっていて、目的の本仁田山 へはここから南に向かって進むことになる。
緩い勾配、自然林の道から急坂に変わり、この部分を登りきれば本仁田山の山頂部へ出る。 ほぼ平らな道を進めば、それほど広くない山頂に着いた。切り開かれている東側だけに展望が あるこれといった面白みのない場所で、通り過ぎる登山者も多い。
山頂から南に進む歩道へ入ると、まもなく花折戸尾根の分岐が現れる。これから下る大休 場尾根は、ここを右へ進む。ここから休むこともなく急な下り坂をひたすら下っていくこと となる。
右側の谷が植林となり歩道がこの中に入っていくと、地形図でルート右折し尾根の 背を離れていく部分に達した。道標が立っていて右に折れると、折り返しの続く急な下りとなり、 尾根の西側にある安寺沢に向けて下っていく。
前方に民家が現れ、支沢に沿うように進めば民家の裏を通り、脇のコンクリート階段を下っ て車道に出た。
この車道は林道安寺沢線で、南に向けて下っていけば除ケ野集落の前を経て、日原川に沿っ た車道にむけて下っていくことができる。
氷川国際マス釣場の真上を渡っている橋で一端日原川の右岸に移り、左岸の山に貼りつく ように建てられている奥多摩工業の工場の姿を見ながら下っていくと北氷川橋に出る。こ こを渡れば奥多摩町役場の前に出て、その先には奥多摩駅がある。
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