長沢背稜 navigation_arrows top next previous
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雲取山荘から大ダワ.
雲取山荘
大ダワ 大ダワ
ヒュッテから下っていくと大ダワに着く.樹間には唐松尾山も見えていた.
将監方面 雲取山荘
長沢背稜分岐からは、将監方面の眺めが得られる.写真右は竜バミ山であろう.
雲取山の木々の中には山荘とヒュッテの位置が確認できる.
長沢背稜の分岐から芋ノ木ドッケ山頂.20分ほどスイッチバックを繰り返し登っていく. 木々の間からは大洞川筋の山々が眺望できる.
唐松尾山
大洞川井戸沢の広い谷の右に唐松尾山がある.鋭い御殿岩のピークはわかりやすい.
甲武信岳方面
見覚えのある三つのピークが並ぶ.甲武信岳の方角の眺望.
和名倉山
和名倉山
長沢背稜.
三角点 分岐
芋ノ木ドッケ三角点
三角点の先には秩父側の分岐がある.
桂谷の頭付近 長沢山
根の絡んだ細い尾根を進む、桂谷の頭付近.
長沢山
整備された歩道アララギ山の手前 天祖分岐
水松山手前の整備された歩道
天祖山の分岐
toritani
酉谷山山頂への分岐
酉谷山の山頂
ヨコスズ尾根
ゴンパ尾根よりみたヨコスズ尾根
酉谷山からの展望
大岳山方面
石尾根と御前山
 人通りの少ないルートを歩いていたり、登山客も少なくなった遅い時間帯のバスを待つときなど、山ではめったに他人に話しかけることのない私も、 いつになく登山者同士の会話をはずませることがある.秋日、日の暮れかかった東日原バス停もそんな舞台装置だ.ここでの会話にたびたび出てくるのは、長沢背稜のこと である.
 こんなシチュエーションにいる者であれば一回くらいは歩いているであろうとの推測から、同好の者を見つけたとばかりにと、奥多摩の最奥部の 会話に花が咲くのである.
 どこでは道がはっきりしなかったというような今日歩いてきた自分の経験や、さきほど一杯水であったツワモノは棒ノ折ま で県境尾根を歩こうとしていたというような話に時間をつぶすことになる.
 こんな話を何回となく聞いていると、その道はけっこう歩かれていることを知り、これもまた私には意外なことなのであった.
 私自身はそんな経験もないから、もっぱら聞き手にまわっていたわけであるが、通いつめると歩き残したところの あるのは気がかりである.いつか機会を得て歩いてみようと思うようになった.
 東京と埼玉県の県境には長い稜線が壁を作っている.そして、芋の木ドッケという高いピークで 三峰側、荒川の谷底から登ってきた稜線と合わさり、大ダワを経て雲取山に達している. その上には一本の道がずっと続いていることが地図からわかる.
 雲取山から下りてきた場合、芋ノ木ドッケ、長沢山、酉谷山、天目山と高度を落とし、さらに蕎麦粒山、日向沢の峰、棒ノ折山などを経て、 青梅市北部、小沢峠あたりで辿れる.
 何しろ長い.地図でみるかぎり20km以上あることは確かであるから、ちょっと出かけていくわけ にはいかない.それにアプローチも良くない.よく登られているのはもっとも末端に近い棒ノ折山くらいしかなく、あとは蕎麦粒山のような 東側の比較的低い山であってさえ時間を要することから敬遠されがちなのだ.
 何度地図をみてコースタイムを予想しても、週末1泊2日で歩き通すことは難しそうで、それゆえにこのコースの魅力は高まっていく. 奥多摩の山をすべて登るためにの最後のハードルにさえ思えてくる.
 私もまずは下山路として使ってみることに決めた.天目山に登ったときに七跳山までは歩いていたので、私がまだ未踏の区間である ここより西側部分を歩くことを計画し、雁峠から雲取山まで縦走したついでに、その下り1日として、長沢背稜を追加することにした.
 2日かけた縦走でだいぶ疲れもたまり、もし明日は目がさめるのが遅ければそのまま鴨沢に下ろうかと考えながら 雲取山荘でテントを張る.夜中に目がさめると暗闇の都心の方向に明かりが散らばっているのが見えている.夜景というには遠 すぎるかもしれないが、ここはやはり東京の山であった.
 幸い予定どおり6時前に出発できたから、大ダワに向かって歩き始めた.山荘のすぐ下にあるヒュッテの 前は、秩父の山並みが良く見えていた.大きな両神山が真っ先に目に入ってくる.その脇には2つのピーク、これは二子山であろう. さらに東には御荷鉾であろうかはっきりしたピークが見えている.
雲取ヒュッテから秩父
ヒュッテから秩父
雲取ヒュッテ上から秩父を望む.ヒュッテの上からは、秩父方面のすばらしい視界が得られた. 左には、一目で山名のわかる、台形にいくつものピークを乗せた両神山があった.右手(下の写真)に見えている2つのピークは 御荷鉾あたりであろうか.
 今日の行程は時間な十分が必要だから、小走りに大ダワに下った.ここは大ダワ林道が分岐している. 登り返して背稜の分岐に着く.将監峠や唐松尾山方面が大洞川の谷の奥に見えている.手っ取り早く写真を 撮って出発.芋ノ木ドッケに登っていく.途中は展望がよかったが山頂は三角点があるほか特に何もない. 奥多摩のほかの山々からみたこの山は、雲取山と並ぶよく目立つピークであるけれど、山頂は空虚だ. 山頂を出ると三峰方面の道が分かれていて、ここには立派な道標も立っていた.
 ここから先は踏跡をたどる感じだ.天祖山がだんだん近づいてくる.北東に向かい小さなピークを二つ超えた 大血川に削られ尾根はやせ、桂谷の頭と思われるピークに出た.なだらかな下りを駆け降り、次のピークを超えると 長沢山が見えてきた.長沢山の山頂もこれといった特徴はない.下ると、天祖山は砕石場が見えてきて、私の知っている 奥多摩の一画に戻った気がした.
 石尾根の上には富士が顔を出していることに気づいた.水松山に近づくと整備された歩道が現れた.ピークの北から 南側に戻ると木立の中へ出た.ここで歩道は90度折れ、天祖山の分岐が現れる. 次にタワ尾根をやりすごすと、前に大きなピークが見えてきた.これが酉谷山. 早くも出てきた疲れも手伝って、酉谷山のピークに向けての登りは意外とてこずる.
 二等三角点のある山頂に立つ.時計は11時.今日は常に時間を意識していなければならない.朝出発して5時間が過ぎている. 山頂を後に、東側に下り右に曲がって降りたところが非難小屋の上だった.小屋の方から人の声も聞こえてくる.やっと奥多摩の山 に戻ってきた感じだ.ここから三又を経て小川谷林道を歩くこともできるが、次の七跳山までが予定であるから、 まだ稜線上を進むことにした.坊主山を巻き、小さなピークの南を巻いて進むと、目指す七跳山が見えてきた.
 左手には秩父の町が見えている.時間もだいぶ押しているけど、林道に下りてからもまだ先は長いから、簡単に昼食を取って おくことにした.腰をおろし、視線を北東に向けると白い秩父の吊橋がみえていた.雲取山を出発してから歩いてきた長い道筋を思い 出し、自分は今かなり辺境にいることを想像できても、実は西武秩父駅からみえている、あの南方に連なった峰々の上にいるのかもし れないと思えてきた.こちらから見えているのであるからむこうからも見えているであろう. その視線はほんの裏山を見上げるものにすぎないのだろう.
 七跳山の分岐に出る.ここから小川谷に下るゴンパ尾根は植林中の手入れのされた歩道であるが、膝を悪くしそうな急坂の連続だ. できれば、ヨコスズ尾根まで行ってしまおうかと考えていたが、やはり時間は足りなそうだ. ここを下ることに決めた.
 小川谷の林道に降り立つまで1時間、時計は13時50分だった. 16時5分発のバスに間に合わせるためには、東日原まで2時間ほどで下らねばならない. 今日は最後の最後まで時間に追われ続けた.

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雲取山 縦走第一日 縦走第二日
山旅初日、新地平から雁峠に登り、将監小屋まで縦走.
第二日目は将監小屋から飛龍山を経て、雲取山荘に向かう.

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