(新潟県長岡市) | |||||||||||
|
|||||||||||
国内最長の河川である信濃川の始まりは、山梨、長野、埼玉県の県境に位置する甲武信岳.
この山の西北に始まる千曲川の流れは、長野県内を延々と流れ、新潟県に入り信濃川と名を変えた後、日本海に向かう.長岡市街の西側を流れる信濃川は、川幅も1キロメ
ートル近くなり大河川となっている.国道351号線がこの川幅を越えているのが長生橋で、全長850メートルもあるカンチレバートラス橋だ. カンチレバートラス橋は、昭和初期、車道橋に採用されることが多かったようだ.これらはモータリゼーション以前に整備された車道用であったため、その後の通行量増加に対 応できず、架けかえられ撤去されてしまった橋も多い.多摩川の下流に架かっていた大師橋も、これらのひとつで、昭和14年に完成している.首都の門、戦前のカンチレバー橋 の集大成ともいえるこの橋は、最大支間が104メートルもあった大規模なものであったのだが、慢性的な混雑緩和のため新橋が作られ撤去された. 大師橋のようにカンチレバー橋といえば、まずは大掛かりな構造と長スパンが思い浮かぶ.1世紀以上たっても支間520メートルで世界第二位を 維持し続けてているイギリスのフォース橋をはじめ、アメリカの大河川を渡る高速道路に多用されていて、大きな構造物のシンボルに感じられる. しかし、昭和前半に作られた日本のカンチレバー橋には、異なる系列が存在するように思える.それらの中の現存する代表が、昭和12年(1937)に架 橋されたこの長生橋かもしれない.橋自体は国道を渡す13連からなる大掛かりなものである.しかし、支間65メートルは通常のトラスに比べて長いと はいえないからだ.素人目には、結局同じ数の橋脚が必要になるのであれば、トラスをひとつひとつ並べて置いていけばすむ通常のトラス橋の方が工事は 容易に思える.あえてカンチレバーが設計に採用された以上、その採用には何らかの利点があったのであろうが、私はそれを知らない. だから、その設計が与えた見た目の点を楽しむしかないだろう.トラスと異なり、橋脚の真上に乗っている山形の部分は定間隔で現れ、その姿に上下のメリハリ をつけている.並ぶ山型の部分を眼で追っていくと、その連続性からその長さが印象的だ.これは、無機的な一本の線となってしまう通常のトラス橋にくらべて景観的に すぐれていることは確かである.長生橋が長岡市民に身近で愛される橋とさせている理由かもしれない.名前の通り、今後も現役のまま長生きしてほしい橋である. |
|||||||||||
カンチレバー(ゲルバー)橋 Cantilever橋は、考案者Heinrich Gerberにちなんだゲルバー橋とも呼ばれる. コンピュータの発達によって、複雑な計算が必要な斜張橋が掛けられるようになる前には、長支間橋を設計する技術として利用されてきた. 日本でも渡海橋などの長大橋架橋のための形式として使われてきた.古くは明治末の関門海峡架橋案にあり、近年の横浜のベイブリッジもおいてもゲルバートラス案も 検討されている.国内最長支間は74年架橋の港大橋(大阪)で510メートル.世界でも第3位. RELATED PAGE:私のページのカンチレバー橋 ニューオリンズミシシッピ川に架かるGreater New Orleans bridge. 両国橋 震災後の復興では、さまざまな様式の橋が掛けられた隅田川.両国橋はゲルバー桁橋である. LINK:カンチレバー橋のページ Quebec Bridge 世界第一位のスパンをもつカンチレバー橋.2度の崩落事故を経て1919年に完成した.カナダのSaint Lawrence川に架かっている. Forth bridge 世界第二位は「鋼の恐竜」、1890年に完成したフォース湾にかかる巨大鉄道橋. 港大橋(大阪橋ものがたり) 74年に架橋された.スパン510メートルで世界第三位. | |||||||||||
|
|
|