岩茸石山の北側、名坂峠付近から見た真名井北稜.稜線上には送電線が走り、その巡視道をたどることができる. |
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真名井北稜を登る | |||||
真名井北稜ルートは、大丹波川から登る川苔山への尾根道である.
真名井沢の北側にあるため北稜とよぶようで、対する南稜というルート名はなく、この南稜にあたるのは川苔山への登山道のひと
つとしてよく知られている赤杭尾根である.
この赤杭尾根と真名井沢をはさみほぼ東西に伸び、北側が大丹波川の谷筋となっているこの尾根は、 東側から川苔山へ登る最短コースとなりそうなのだが、地形図にさえその道筋は記載されていないし、 登山地図にも真名井北稜という名称のみあってコースは記入されていない. しかし、一般的な登山路としての道標は当然のことながら設置されていないので、一般向けの コースとはいえないが、未整備ルートとしてそんなに難しい部類ではない. 前半は、送電線があるのでその巡視路が整備されていて、巡視のため一定の頻度で歩かれているで あろうから道筋もはっきりしているはずだ.それと、この尾根はそれほど錯綜した形状ではいないから、 地形図を手に主尾根を確実にたどりさえできれば、合流する赤杭尾根の上部に達するはずである. 赤杭尾根に合流できれば、あとは整備された歩道を川苔山に登るだけである. 真名井橋がスタート地点となるから、川井駅より上日向行バスに乗って終点で降り、大丹波川に架 かっている茶色に塗装されたこの橋のところに向かう. 橋の対岸に林道が続いていて、橋を渡った先ですぐ未舗装になった.この林道脇にある 「39号に至る」と書かれた黄色の標柱のところを入れば、植林中を一直線に登り、15分ほどで 尾根の上に出た. ここから先はほぼ稜線をたどっていくことになる.東京電力の新秩父線巡視路の黄色い標柱 がたよりになる. 歩きはじめると、地形図にある550m地点と思われるピークを巻いている. 続いて40号鉄塔の下に出た.さらに進むと41号鉄塔.鉄塔の下は切り開かれているから、赤杭 尾根の展望が良かった. 意外だったのは、赤杭尾根には車道がつけられていて、赤久奈山の山頂近くにまで達してい たことである.地形図にも表記はあるが、これまで気にしたことはなかった.赤久奈山は尾根を歩 いていても通りすぎてしまう山であるが、ここから見てもあまり特徴のある山ではない. そのピーク右には平らな稜線が続き、こちらの方が目立つし、さらにその先の離れた高いピークはさらに よく目立つ.どうやらこれがエビ小屋山のようで、赤杭尾根を下っていくとき、東にむけてぐい ぐい高度を落としていくところが、この鞍部に降りていく部分のようだ.
まもなく、42号鉄塔に出て、その先で大規模な伐採跡に出る.赤杭尾根はより近づいた感じで、すぐ前に全貌が現れた 感じだ.これから登っていくことになる稜線もよく見えている. 伐採跡を終えると踏跡は薄くなり、やや心細くなる.勾配のゆるい場所が続いていて現在地がわかる.その先には突然ス テップが埋められてていて、稜線の北側に出るようになっている.送電線はかなり北側に離れていったのだが、まだ巡視路は 続いていているようで黄色の標柱も現れた. 歩道は鉄塔に向かっていくようで、大丹波川に向かって下っていく尾根に向かっているようだ.木の枝に赤テープも見つ かる.ここから左手の細い尾根に登らなくてならないようだ.一息に駆け上がることにして、細木の枝を払いのけながら登ると、 少し広い場所が現れた.この場所を終えるとその先では、沢が両側からせりあがり尾根を細くしている. 左の真奈井沢側はここで植林になった.大きな岩が脇に現れ、その先の右には小さなピークがある.踏跡がはっきりしな いのでここに這い登ってみると、50cm幅の細い尾根が続いている.真奈井側は植林で、再び平坦で広々とした落葉の中 に出た. 落葉を踏み分け、抜け出すと標石のあるピークに登り、そのすぐ先で真名井沢ノ頭に出た.すぐ下には、赤杭尾根の歩道が 見えていて、そこを登ってくる人を俯瞰する感じだ. 先日、この尾根を下った時には、このピークの存在にまったく気づかなかったのであるが、その理由は歩道に降りてみるとわ かった.真名井沢の頭は防火帯の終点のように見えるだけだった.防火帯が消えた場所のあったことを記憶していたが、どうや らそれはここだったようで、そのときはそれ以上の気にもせずに下ってしまったのだろう. 防火帯をたどれば、今度は覚えのある分岐に達した.そのときこちらの道から登ってくる人を見かけたので、てっきり北稜は ここに合流していると思っていたのだが、それは違ってここは曲ヶ谷沢への分岐であることがわかった.
南西から登ってくる防火帯が合流して南峰のピークになり、三角点がある.防火帯の先には御前山が見えていて、今日は空気も澄 んでいるから富士山の眺望も良かった. 北峰はさらに高いから、歩道はさらに登っていく.再び防火帯の切り開かれた場所に出るとここが北峰であって、茶色に変わ った木々葉に覆われた川苔山の山頂はすぐ西にある. |
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大規模な伐採跡に出る.ここからからは、真名井沢の対岸にある赤杭尾根が見通せる.
この写真は沢の源頭側を撮ったもので、左側のピークは赤杭尾根、エビ小屋山(地形図の1147mのピーク). |
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伐採跡を過ぎると、落葉林の中では時に踏跡が細くなっていた.このあたりからルートは稜線の北側を行くようになる. |
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ルートが稜線の北側に入ると、大丹波川側につき出た尾根に達する.川苔山へはここで左手に折れる必
要がある.送電線の巡視路はそのままこの支尾根側に向かっていくので分岐を見極めねばならない. |
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上の写真の分岐から南西に向かって稜線上を歩く.踏跡は比較的保たれているし、尾根は細いので
道に迷うことはない. |
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まもなく大きな岩の脇をとおりぬける. |
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真名井沢ノ頭.赤杭尾根の登山道のすぐ脇なのだが、その存在を気づかせないピークだろう.
狼住所から下ってくると防火帯が切れている場所にあり、赤杭尾根の歩道はこのピークを巻いて右手の植林内に入っていく. |
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狼住所で、鳩ノ巣の登山道、北の踊平からピークを巻いてきた道が合わさる.
中央の防火帯の急坂を登っていくと、展望が開ける. |
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防火帯の上が曲ケ谷南峰で、三角点が設置されている.からくる防火帯も合流し、その先には御前山がちょうど見える.
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曲ケ谷南峰からみた富士山.今回は天気も良く、御前山の先には富士山も見えていた. |
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曲ケ谷沢を下る | |||||
時間的にも余裕あるし、冒険に思えた真名井の登りも難なく成
功していたので、普段なら見送るであろう曲ケ谷による下山に今日は挑戦してみるこ
とにした.
曲ケ谷沢ははじめ東にやがて北に曲がって大丹波川に注いでいる.地形図では この沢に沿って歩道を示す点線が続いているのであるが、コースとして紹介されてはいない. 山頂を後にし、まずは狼住所までもどる.このすぐ先には東に入っていくかなりは っきりした踏跡がある.曲ケ谷へ下るものであることを私は今日知ったばかりだ. 先日、この道を登ってきた人を目撃している.沢に足をぬらして登ってくる ような季節でもないから、道は下まで続いるのだろう.そのときは、この踏跡が真 名井北稜に続いているものだと思っていたから、声もかけなかったけれど、道の 状態ぐらい聞いみるべきだった. 分岐に入るとまもなくスイッチバックしながら、どんどん下っていっているが意外 としっかりした踏跡が続いていて安心する.植林の先は沢を渡る場所に出た. しっかりした道が対岸を登っていくのが見えていたので、つられてここを登って しまったが、どんどん沢底からはなれていくことに気づいたので沢まで戻った. |
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曲ケ谷沢の歩道.このルートは廃道化していく運命にあるようだ.獅子口小屋跡へ向かう登山道から、
この曲ケ谷沢に入る分岐点に立つ標柱からは、このルート側の表示が切落され
ている.途中何箇所かある木橋が朽ちてしまえば、岩の断崖に囲まれた沢を渡るのは
容易ではなくなることだろう.写真は獅子口小屋跡の歩道に合流する直前にある橋.
ここのように行く手を岩に阻まれ、沢をまたぎ道がつけられている場所がたびたび
出現する.
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先ほど見落としていた沢沿いに下っていくルートが、やはりここで分岐していた.
気づかなかったのは沢床しかみえていなかったからである. うら悲しい北向きの沢.まだ時計は2時をさしているのに、谷底はもう薄暗く 厚く積もった落葉を踏みしめ下る沢底から見あげる山々はもうすっかり冬の 趣だ. 使用されず崩壊した山葵田跡、 道筋も使われていないようにみえて心細い.朽ちはじめた木橋で沢を何回 となくまたぎながら下っていくと、獅子口小屋跡からのルートに合流した. ここからはよく踏まれた道をたどり林道に出る. 長い林道歩きが続き、バスを待つよりはと歩き始めた川井駅への道のりはさらに 長い. |
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