六ツ石山は石尾根に接している.山頂北側に、 石尾根を貫く縦走路が通っている.防火帯として山頂は人工的に切りひらかれているのだが、帯びの周囲はカラマツなどがとり囲んでいるから 、視界は西側だけに限られている. |
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奥多摩湖行きのバスは超満員だった。
それは、私が家を出た時間の遅かったのが理由かもしれない.一杯に詰め込んだバスが多摩川の橋を渡るたび、ちょうど色鮮やかに染
まリ終えた葉を精いっぱい枝につけた川沿いに並ぶ木々が目にとびこんでくる.
私を含めて、このバスのだれもがこの紅葉を求めて、奥多摩にやってきたのである.今日、水根から六ツ石山に登ろうと決めたのは、 この山は適当に低くて、ルートは南向きの尾根から登っているからであった.南斜面であれば、まだいくらか色づいた葉も残っていることだ ろう.そして山で見る紅葉は、今日の山行が今年最後になりそうだった. 六ツ石山は、石尾根すぐ脇にあるピーク.鷹ノ巣山から、この尾根を下ってくると、幅広の広い 水根沢の谷を尾根道が、弧状に巻きおえた先にこの山がある. 奥多摩湖のすぐ手前の水根バス停で降りる.大麦代トンネルすぐ手前に橋がかかっているのが水根沢、この流れに沿う車道に入る. 沢を離れ車道は折り返し水根の集落も近くなると、奥多摩湖の青白い湖面が下に広がるのが見えてくる.むかし道入口の表示が現れた. 六ツ石山に向かう登山路は、むかし道から分岐していたはずだから、ここを入ろうかと思ったが指導標にしたがってそのまま車道を進む ことにした. 水根沢谷の林道が分かれ、道は折り返し登山道の入口に出る.むかし道から分かれてきた登山道も結局ここで合わさっているようだ. 民家の横を入り、まっすぐ北に向けて登っていくと、すぐに杉植林中に入った.林中には産土神社の祠が建っていて、今年立てられたばかりの 案内書きが横に立ててあった. ここからしばらくは急な登りが続いた.植林の木々の隙間からは御前山が見えている.支尾根の頭ミズナラとブナの色づいた 一画に出ると空が開けてきたのでここで一息つくことにした. 続く道では、植林された細い尾根の登りが続く.右手の中山側は明るくなってきて、小木の林に入っていく.葉も半ば落ちた木々の中に濃い 赤色のもみじだけが残り鮮やかだった.そのすぐ上では境へ向かう道が分かれていく. 地形図には、2つの歩道が榛の木尾根に沿って表記されているが、そのうち斜面を巻いていくほうの道の分岐に達したようだ. 霞んだ大岳山と御前山が、木々の向こうに見えていた.北側の林中の、急斜面を攀じ登っていくと、左手にピークらしい高みが見えてくる. そしてまもなく切り開かれたところに放り出された. 稜線上のコースの方は防火帯が切られていたのである.ここを左に行けば六ツ石山に達する.切り開かれた帯の東側は黄色に変わった葉をまだ残したカラマツが並んでいる. 落ち葉で敷き詰められた斜面を踏みしめながら登っていく.落ち葉のこすれる音のほかには、吹く風に枝に残った葉がサラサラさびしげな音をたてるだけだ.これらがすべて散ってし まうのはもう時間の問題だろう. 地図で確認すれば、分岐で標高は1300メートルに達している.距離では、登りの歩程はまだ半分に達したとことであるのだが、標高的には残り150メートルしかない. 防火帯は稜線の背を登っていくだけに、まずは急坂の登りが待ち受けている.少し平らになったので、息をならしてふり返ると、御前山が見えていた.右手には石尾根も見える ようになり、さらにその向こう側には、川苔山、本仁田山も見えている. ピークを越えると、六ツ石山の北東にある小高いピーク、狩倉山も見えてきた.西側の笹の間には、水根沢谷を挟んだ対岸のカヤノキ尾根が見えている. 次のピークにのぼりつめると進行方向は少し変わる.このピークをやや下ってから登る直すと、オレンジ色のカラマツが印象的な六ツ石山が見えて、山頂に到達した. 山頂は開かれていて広いが、特徴のあるものではない.展望も、西に大菩薩に山々が壁となって立ちはだかるのを見る程度、その右手後方にかすかに見えている白い 峰々は南アルプスのものである.山頂の北西には、天祖山とその後ろに芋の木ドッケがあるのだが、これも木々の間からみるのみである.その南隣にあるはずの、東京都の最高峰雲取山はちょうど間にある鷹ノ巣山にさえぎられてしまいここからは見えない. 北側に降りている道の先に石尾根縦走路があるのだろう.また込み合うバスに乗るよりは、石尾根を伝って奥多摩駅まで下ってしまおうとも思ったけど、私は榛の木尾根を境橋に下るルートを まだ歩いたことがないので、これを機会に使ってみることにした.往路を、水根からの歩道が榛の木尾根に出たところまでもどり、ここからも防火帯を東に進む.南側は檜の植林に変わり、尾根の北側はカラマツの生えたなだらかな斜面に なっている. 3本の大木が切られず防火帯に残こされているのを過ぎると、マイクロウェーブの反射板が建っている.ここの南側は下まで一直線に30メートルほどの幅で木々が帯状に切り開かれていて、その先に小河内ダムが見えている. 反射板に電波が向かってこれるだけに前方もずっと先まで見通せて、多摩川の谷に沿って点在する集落が見えている.北東は間に小中沢を挟んで三ノ木戸山のピークがあって、その東で石尾根が急激に高度を下げている. 背後には本仁田山も見えていた. 50メートルほど進むと防火帯は終息、右の細い檜林の中に下りは続いている.この辺は急坂で踏み跡もはっきりしなかったが、今度は高い杉木立の中に道は続いていた. 左手に岩のごつごつしたピークが見えているが、どうもこれが下から見あげたとき、尾根の突き出している場所にあたるようだ.すっかり切り開かれてしまった大掛かりな伐採跡を越えると、右手の林の中に歩道は続き青屋根の民家の裏に出た. 前にはそびえたつ御前山が見えている.2件目の民家も現れたから、すぐにでも車道に出れるかと期待していたが、急坂はまだまだ続くようだ. 小河内線跡の緑の鉄橋の下を越えると、青い境橋の橋梁が見えてきた.車道に出るとむかし道を歩いている人々に出会う. 境橋に着くと、運良くちょうど遅れてきたバスに間に合った.乗りこんだバスはすし詰め状態、工事で渋滞も加わった. 2001年11月に歩く.
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下りは御前山御前山を見ながら進む. | 防火帯の下りが続く. | 切られた防火帯の南はヒノキ植林となる. | ||||||||||||||||||||||
マイクロウェーブ反射板から、小河内ダムを見下ろす. | 本仁田山が見えている. | 三ノ木戸山とその斜面の集落. | ||||||||||||||||||||||
日ノ出山からみた榛の木尾根 |
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