白根御池小屋まで |
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2001年夏、初めてこのコースを登ってから8年、今秋再びこのコースを踏みました.秋の晴天に恵まれ写真も数多く撮れたので、これを機会に全般的に写真の入れ替えをすること
にしました.この間、芦安村が南アルプス市になったり、林道の交通規制が導入されたりと相違はありますが、山行記については改めて書きなおすこともないので、2001年訪問時の手直しだけにとどめました.
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広河原から山頂を見る. |
昨年春、鳳凰山に登った時、山頂部からは、
野呂川を挟んで対峙する北岳の姿を初めて見た.まだ、野呂川の深い谷底から稜線に一筋に突き上げている大樺沢は残雪で埋まったまま、その白一色の斜面を登っていく人々の
あまりにも小さな歩みを遠望した. その大樺沢、上にのせた巨大な扶壁は、富士に次ぐ国内第二位の高所を支え、北岳の力強さを象徴しているかのようだ.赤石岳から始
まった私の南アルプス山行、次はこの北岳に登ることに決めた. 北岳の登山口となるのは広河原.登山シーズンには甲府駅より広河原行きバスも何便かあって、南アルプスでもっともアプローチが良い場所である.
新宿駅で友人と待ち合わせ、あずさで甲府に向かった.弁当を買い12時発のバスに乗り込む.登るとなれば、時間に余裕がいくらでも欲しい.この季節には、
早朝バスも出ているほどだから、昼過ぎのバスはかろうじて満席になった程度ですいていた. 夜叉神トンネルを越え、林道に入ると駐車された車や対向車とのすれ違いに時間がかかり、
バスの進行は遅れはじめた.下車するバス停は大樺沢だ.ここからは甲斐駒や仙丈ケ岳の入口となる北沢峠に向かう芦安村営バスが連絡している.
当初の予定では、このバスに乗り継ぎ、野呂川出合から両股小屋まで歩くつもりであった.3連休、登山道は相当に込み合うだろう.少しでも静かなルートを
登ろうと考えたからである.
しかし、広河原に近づいてくると、空はもう明るくはなくなっている.バスを降りるといよいよ雫も落ちてきた.雨カッパを着て林道を歩くのもためらわれたし、
明日も雨だとしたら、沢沿いの人気のないルートを登っていくのも心細く感じる.広河原で泊まり、天気次第で早朝発で白根御池小屋のルートで山頂まで往復してしま
うのもひとつの方法だが、さすがに日帰り往復はきつそうだ.昼食はバス停のベンチで食べてから出発し、白根御池小屋まで行くことにした.
野呂川にかかる吊橋を渡ると登山道に入る.しばらく歩くと大樺沢のルートが分かれ、白根御池小屋へは林中の急坂となる.しばらく急な登りが続くが、今日の予定
は小屋までの3時間だけだから、気持ちとしては楽なものであった.小さなベンチが設置された休息所で一息いれ、登ると急坂は終えて勾配のない道を辿るようになり、
小屋も近そうだ.水の流れる沢を越えるとまもなく白峰御池小屋についた.まずはテントを設営し、ビールを開いて夕食を作る.本日の予定はこれで完了、明日の天気に
期待し眠りにはいった.
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白根御池小屋 しばらくプレハブで営業していたが2006年完成した.標高2230mに位置し、山頂まで1000m弱を残すた
め他の小屋ほどこみ合うことはないようだ.白根御池小屋 |
10月中旬、 小屋の周辺はちょうど紅葉の盛りであった. |
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白根御池小屋を出発 |
小屋のすぐ先にある小さな池が白根御池で、大樺沢へ向かう
ルートが分かれている.尾根を行くルートは草のはえる急斜面を一気に稜線に向けて登っていく.ここが草すべりと名づけられた急登区間で、最初は
崩壊した草地、上部はダケカンバの中の明るい登りとなり稜線直下のお花畑に出る.お花畑の右上には、岩肌が露出した小太郎山まで続く尾根がある.山頂方面の見晴ら
しもよいので、新しいフィルムを取り出すついでに一休みすることにした.
大樺沢右俣のルートが左に別れていき、少し登るといよいよ稜線に迫る.大樺沢の対岸の稜線上には富士の峰が浮かんでいて、富士だけは北岳よりまだはるかに高いこ
とを実感させられた.山頂にむけて谷筋をガスがのぼりはじめているから、私達が山頂に辿りつく時まで視界が保たれるか心配だ. |
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山頂部 白根御池より. |
草すべり 小屋の先にある御池といわれる小さな池の脇で大樺沢のルートを分け、
尾根を登るルートは草すべりと呼ばれている場所を登っていく. |
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山頂部.草すべりの途中から |
露岩 草すべりの上部にある露岩.この上は少し広くなっていて休憩できる. |
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大樺沢 |
お花畑 岳樺を抜け這松帯に出る.大樺沢右俣のルートが合流するあたりは、お花畑と呼ばれる.
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稜線に出る |
稜線の道に出ると、野呂川の深い谷を挟んだ鳳凰山の稜線の左手には派手な白っぽい岩峰が見え
ている.地図を持ち出すまでもなく、その姿ゆえに甲斐駒であることはすぐにわかる.尾根上に歩道が続いていて、野呂川の手前に見えているピークが小太郎山であろう.このピークは北岳山頂
の展望が優れているようだが、目的の山頂に急がなければならないから立ち寄ってはいられない.
分岐のすぐ上からは、仙丈ヶ岳が見えるようになった.小仙丈、仙丈、大仙丈、3つのピークが並び、間にはカールのある谷が野呂川に下っている.
これから進む歩道が稜線右下にずっと続いているのが見渡せる.海の日を含めた三連休だけに人の姿が多い.
山頂までには、3つの急坂を経なければならないことがここから確認できた.まずすぐ前の岩の急坂、終えれば小屋もある肩に出る.小屋の先にある急坂が、両股小屋から上がってくる歩道
を合わせるあたりまで続いていて、ここはそこそこきつそうだ.最後は山頂に這い上がる部分、これはどこのピークでも経験しなければならない程度のものであろう. |
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八ヶ岳 右俣分岐を過ぎたあたりで、八ヶ岳が見えてくる. |
甲斐駒ヶ岳 稜線上に出ると甲斐駒ヶ岳が見える.ピーク手前を取り巻くのはアサヨ峰などがある早川尾根、左端のとがったピークは
鋸岳. |
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富士 草すべりでは、富士は池山吊尾根に隠されているが、小太郎分岐手前から姿を現す. |
仙丈ヶ岳 小太郎山分岐を過ぎると、仙丈ヶ岳も見えてくる. |
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稜線からピークを望む いよいよ前方に山頂の全貌が見えてくる.
道は緩くなり目的地が見えているだけに気はあせるが、1時間強の行程が残っている. |
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稜線 野呂川対岸には、鳳凰三山が見えている.左手が高嶺、その右に鋭くとがった地蔵岳のオベリスクが確認できる. |
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肩の小屋 山頂まで30分最後の詰めを残し、青屋根の肩の小屋は建つ. |
左俣沢の稜線 肩の小屋からの急登を終えると、両俣小屋に始まる左俣沢
ルートの稜線が合わさる. |
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