利尻島 利尻島は、稚内の西、日本海に浮かぶ円形の島で、 北隣の礼文島と対で道北の離島としてよく知られています.島の中央には、海抜1721メートル利尻富士がそびえたち、稚内西岸からは、海上に突き出 た高山として眺望できます.別名利尻富士、富士と名のつく山は数多くありますが、本家より鋭がった山容といい、海上に浮かんだ独立峰であることなど、 秀逸な山姿でトップとなるのかもしれません.
道北
利尻島
礼文島上泊からみた利尻島
利尻富士
利尻岳頂上付近 利尻岳頂上付近
鴛泊が見えている

 利尻島を私が訪れたのは98年8月の末のことです. この島を訪れることに決めたのは、前年の屋久島永田歩道に続き、海抜0mからの登山をもう一回やってみようというのが主な 理由だったはずです.この山がよく知れわたっているのは、深田久弥の著書「日本百名山」が、最北のこの利尻岳から始まって いるからかも知れません.島全体が一つの山を形成している唯一の島として利尻岳を紹介することが、あまりにも有名なこの本 の書き出しとなっています.
 ゆえに、この利尻富士は文句なしの独立峰のはずであり、海上に浮かんだ山の頂に立てば、360度すべて、それも大海 原を見わせることを予想し、私は隣の礼文島と合わせて1週間ほどの予定で出かけていきました.8月の後半、必ずしも安定し ない時期です.残念ながら利尻富士に登った日は、天候に恵まれず、最大の売り物ともいえる山頂部360度の展望はあきらめ るしかありませんでした.それでも、山頂からは霧の晴れ間から時々海原の光景が見え、荒々しく迫り上った独立峰の頂を踏 んだという満足感を心に刻みつけ、下山することになりました.
 もう一度この山への思いは今でもありますが、道北の離島ゆえになかなかそのチャンスは回ってきません。早くも10年の月日 が流れ、このページも、私のサイト中、古いものになりつつあります.今年、屋久島に再訪しページを手直ししたのをきっかけに 、写真はスキャンし直して、サイトを更新することにしました.文章は、まだ手を入れていませんが、今後、記録を元に手直しする 予定です. 2008年11月.
利尻島へ向かう稚内空港で 利尻島が見えてくる 鴛泊
利尻島訪問紀 
 離島へ旅する趣を楽しみたいのなら、やはりフェリーを使うべきだ.人々の生活する利尻島、当然ながら フェリーが就航している.利尻島は稚内の沖にあるようなものだから、時間も対してかかるものではない.しかし、今回、私はあえて飛行機 で渡るプランをたてた.どうせ稚内空港までは空路をいくのだからで、そこで連絡してそのまま島に渡ってしまえば、時間的に有利なことも そうしようと考えた理由の1つですが、できれば海上の独立峰である利尻山を高い位置から見ておきたいと思ったからです.
 稚内空港を飛びたった飛行機は、町上空を通過し海上に出ました.離島便だけに、小さな機体の飛行機の客室は、操縦室につながっていて 、パイロットが操縦しているのが見えます.
 天気は快晴ではなかったけれども、窓の外にはすぐに利尻岳が見えてきました.私が前方の利尻岳に夢中になっている間に、飛行機は 早くも島の上空に達していました.あわてて、バッグから地形図を取り出し、下に見えている小島がポンモシリであることを確認しました.
まもなく飛行機は、利尻山の山麓に作られた空港に着陸しました.機を降りてまずは眼前の利尻富士を写し、空港の建物まで歩きました. 空港の建物といってもローカル線の駅のような小さなものです.預けた荷物を受け取って外に出ると、ちょうどタクシーが止まっていたの で、北麓野営場に向かうことを告げ乗り込みました.
 運転手の話では、今日は最高の登山日和であったが、明日からは天気が崩れる とのことです.実際、この日空港で見て以来、利尻山の姿は雲の中に隠れてしまい、再び山全体の姿を見ることなく島を後にしなければな らなくなってしまいました.鴛泊で島の周回道路から離れると、真新しい道路がまっすぐに前方の森に向かっています.運転手の話で、ここ に利尻富士温泉があることを初めて知りました.昨年できたばかりのようで、ここに来るまで情報の入らなかったのも無理もないことです. 下山後の楽しみが一つ増えました.その温泉の前を過ぎ道路が林の中に入っていくとさすがに道は狭まくなり、やがて終点にある野営場に 着きました.
利尻岳に登る
山頂の祠 ローソク岩
山頂(1719m)の神社 ローソク岩
 利尻岳には沓形コース、鴛泊コースの2つがあります.私が滞在している北麓野営場から始まるのは鴛泊コースです. 残念ながら、天気は予報どおり良くはない.先に延ばしたところで良くなるとは限らないので、今日登ってしまうこと にした.わざわざ道北の離島まできた今度の旅の最もたいせつな目的が、この山の登山であったけれど、天気が期待で きないのなら早く達成してしまうほうがよさそうに思えた.
 片道4時間半と見積もり、朝6時に出発することにした.食事を済ませ、実際は10分遅れた6時10分出発となった. 名水として有名な甘露水は野営場のすぐ奥にあって、細い水のわき口にコップが並んでいた.ここで水筒に水を汲んで出 発する.ここですでに3合目である.頂上まで残り7合、標高差にして1200メートル、距離は5590メートルと表 示があった.すぐ先にポン山への分岐がある.ポン山北裾を通って姫沼に向かっている歩道のものだ.約20分登ると 4合目に着いたので、いちおうここで休憩して出発することにした.次の5合目には7時10分.この分だと1合あたり 20分の感じだ.幸いまだ雨は降ってこない.ふりかえると前にはポン山、左手の裾野の平原には空港の滑走路が広がっ ているのが見えていた.6合目あたりから、展望が開けてきた.鴛泊も見えている.登山道は這松の這えた斜面をつづら 降りに登っていく.規模は小さいけれど今夏の始め登った富士山を思い出す.この傾斜は火山のものなのだろう.
 8時45分、長官山というピークに着く.ここには椅子がもうけられていた.昨日、この上にある小屋に泊まった のだろうか.早くも下ってきたパーティーが休んでいた.私もここで休んでいくことにした.いよいよ雨が降り始めた. 避難小屋をのぞいたけれど、当然のことながらこんな時間にはだれもいない.ここまで調子よく、すでに8合目までき ているのだから、頂上はすぐのような気がしてペースをあげたけれど、実際にまだ先は長かった.
 おまけに雨も強くなってきたから雨ガッパを着た.水を吹くんだ火山土はつるつる滑り、慎重に足をすすめなけ ればならない.9合目をすぎ、沓形からの登山道が合流した.沓形から登ってくる人の姿も見えている.こちらは、も ろそうな岩の上の細い道のようだ.せっかくなら、登り下りで異なるルートにしたいから、できれば沓形に下りたいの だが、今回は野営場を拠点にしているから、登りと同じ道を下るしかない.
利尻岳 空港より 利尻岳山頂
飛行場からみた利尻岳 頂上
南峰 立ち入り禁止となっている南峰.


姫沼まで歩く
姫沼へ向かう歩道 姫沼
姫沼への歩道姫沼
鴛泊 利尻富士温泉
鴛泊 利尻富士温泉:平成8年に掘られた温泉を利用した施設 利尻富士温泉
沓方 鴛泊港
沓方港 鴛泊港
礼文に渡る
 この旅の二幕目は礼文島.早々野営場を引き上げ、鴛泊の港に向かいます。礼文島へ渡る切符を買い,船が来るまで時間をつぶすことに なりました.フェリー乗り場の食堂にはいり、まずはウニ丼を食べ、ビールを飲むことに.昨年思いついてから一年待った利尻山登山を終えて まずは達成感を感じビールもおいしい.ウニ丼は、さすがに高かったけれど、本場だけに新鮮なウニでおいしかった.北海道で何が楽しみかといえば、海の幸介.満足して 外に出る.
 港のすぐ前に立っているペシ岬に登るため、となりの漁港を歩くと、漁協の売店があった.ここはみやげものを買うために帰りによることにする.隣には漁協の食堂があ って前には生きたウニがあった.こちらの方が安かったけど、ウニ丼はもう食べてしまったし仕方がない.十分満足しているから、少しくらい余分に払ったところで気にな らない.昼からビールを飲んで上機嫌な私はペシ岬に登ることにした.大した高さではないけれど、鴛泊港の入口をペシ岬、飛行機からも見えていた岬に立っておくことに した.急な坂道を登ると、ここは、海に突き出しているから飛ばされそうな強い風が吹いていた.昨日の雨がうそのように今日は快晴である. 西に台形の小さな島が見えていてポンモシリ島であることがわかった.この島は飛行機からも見えていた..
ペシ岬 鴛泊港のすぐ横にそびえる立つのがペシ岬.付根から歩道が続いている.海に面しているだけに風が吹きまくる.帽子を飛ばされないように押さえて頂上に立った.
ペシ岬
ポンモシリ島
ペシ岬に立つとポンモシリ島が見えた.


 島での滞在中は、最終日を除き、くもりか雨の天候が続くという、最良の条件ではなかったものもそれなりに充実した日々を送れました.


information
map
Airline 稚内空港から利尻空港間にDHC−6(19人乗り)のフライトがある.利尻空港は公共交通機関でアクセスできない. 1日1便のみ.
エア北海道
Ferry 稚内港から鴛泊間、1日2から4便(季節によって異なる)の直航便.鴛泊から礼文島香深間のフェリーもある.5月から9月の間は、沓形港―香深港間のフェリーも出ている.
ハートランドフェリー 稚内支店
 電話0162−23−3780
Bus 沓形を起点に島を1周するバスがある.私が利用した時期には1日4便あったが季節によって異なるかも知れない.
宗谷バス 利尻営業所
 電話01638−4−2550
LINK 
 利尻町  利尻富士町 利尻富士町キャンプ情報
Map 国土地理院の2万5千分の1地形図では次の4枚.
鴛泊雄忠志内
仙法志鬼脇
Amazon Guide book
利尻 山の島 花の道
 宮本 誠一郎 ・杣田 美野里 著 2004年新版が出た.(左の写真は旧版のもの)
利尻・礼文自然観察ガイド 杣田 美野里・ 宮本 誠一郎・佐藤 雅彦 著 2006年 山と溪谷社


islands island屋久島 island宮古島 island西表島 island奄美大島

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