十勝岳
tokatidake
旭川空港へ進入する機体からは、雪を被った十勝の山々が見えていた.
 大雪山の南方に連なる十勝岳連峰、その中の一峰が十勝岳である. ピークらしい姿は、自身の噴火によって失われていて主峰という感じはしないが、並ぶ峰々の中、白い噴煙の帯が空に昇っている 場所を探せば、そのありかはよくわかることだろう. 十勝岳は活火山であり、大正、昭和と噴火を繰り返してきている.今は活発に活動しているわけではないが、活火山に登るというのも なかなかない体験だ.麓に白金温泉があり、国設白金野営場があるので、2002年の夏、私はこの野営場を起点として十勝岳を往復 した.
 

山頂 左:グランド火口から見た十勝岳山頂.左下:噴煙をあげる62-U火口
噴煙 山頂
避難小屋
避難小屋
美瑛岳と美瑛富士
美瑛岳と美瑛富士
前十勝岳
煙を吐く、火口
富良野岳
緑に覆われた富良野岳
美瑛岳と美瑛富士
鋭いピークの美瑛岳が、その右には美瑛富士が見えている.
すり鉢火口
すり鉢火口
すり鉢火口
 麓にある望岳台、車道が通じていて、活火山、十勝岳の名に惹かれてきた観光客が車を降りては山々を眺め、そのまま 立ち去っていく場所だ。かつて、ここには国設スキー場もあって、私の地形図にはリフトを示す線が載っていた.スキー場 は、だいぶ前に閉鎖され、残っていたリフトの残骸も近年撤去されたという. 私はこれが観光用リフトと思い、十勝岳は観光遊山の対象であるとばかり考えてきた.地元の人の話では、スキーができた ころ、吹きつける風に体の芯まで冷えあがるリフトで登ると、雪は風で吹き飛ばされ、カチカチに凍った雪面が待ち受けて いたという.わざわざ切り開かなくても、滑らかな斜面があったのでここに作られたのだろうか.滑るには条件のよくな い場所だったようだ.
 十勝岳、その高さは2077m、道内6位.かつては望岳台までバスが運行していたらしいが、現在、公共交通機関は 利用できない.麓の白金温泉から登るとなると、山頂までは片道4時間ほどかかり、私が思い描いていたような観光遊山の 生やさしい山ではない.ゆえに国設白金野営場に泊まり出発することにした.
 野営場を出て、硫黄橋たもとから分かれている車道に入る.その先に歩道が続いているように地形図はみえたので、 入ってみたのだが、そこに歩道は続いていなかった.少しだけ時間ロスしたが、車道にもどってみるとウグイス谷歩道と かかれた表示があって、ここが歩道の入口であったようだ.しかし、私は白樺荘前から始まるもう一本の道のほうを進む ことにした.
 切り開かれた斜面の脇にはさびた鉄柱が残っていた.私が想像していた、かつてスキー場から温泉に下るスロープであ ったところのようだ.斜面の勾配をそのまま反映しているから、平らであるかと思えば次は急な登りがあったりで、結構 疲れる道筋ではある.
 最後の急坂を終えると駐車場に出る.ここが望岳台で、晩夏とはいえ、今日も訪問者は多いことだろう.みやげ屋 の建物もあるが、まだ早いから開いてはいなかった.霧がかかり展望のない中のスタート、山頂目指して歩き始めた. ときおり避難小屋の姿が上方に見え、だらだらと緩いのぼりが続いた.ここには視界をさえぎる木々はないから、ふりか えると今歩いてきた道筋が見とおせた.
 南には、緑に包まれた富良野岳が見えていた.その背後に並んでいるでこぼこを日高山脈か早合点したが、冷静に考えて みれば、芦別あたりだろう.
 避難小屋に着く.歩道はすぐ左の沢筋を超え、大きなレキの重なった尾根を登っていくようになった.この登りの 最後の部分はかなり急で、
上ホロ方面
上ホロ方面 山頂より
美瑛岳への稜線
美瑛岳への稜線 山頂より
富良野岳
富良野岳 山頂より
境山方面
境山方面 山頂より
スイッチバックを切りながら休み休み登っていく登山者の姿が見えていた.いよいよ私もこの部分にさしかかると、 見ていたとおりの急登、そのつらさに一端足を止め、白い噴煙を上げる前十勝を眺めることにした.霧もあがり、いくらか展望が 期待できるような状況だ.左奥に、そこが山頂と思われるとがったピークが出現.まだ予想以上に離れていて、少し気落ちした. 見た目は、まだまだ登り始めといった感じがするほど、離れているように見える.
 拳大の黒い礫が転がっているすり鉢火口脇で腰をおろし、本格的に休息することにした.すり鉢火口はその名の通り、 蟻地獄のように深くえぐられている.ただ、すり鉢のように逆さにした円錐というよりは角錐形で、渕の線はほぼ直線、人工 的に掘ったような感じであって、自然の営みの複雑さ感じさせるものだった.
 右手が崩壊した斜面といった様相で灰色一色のグランド火口.その西南に、立ち入り禁止となっている前十勝岳があって その脇に白煙をあげている62−U火口があるはずだ.グランド火口の上部には侵食による凹凸が作る縦縞が並んでいて、その 上に一段高くなった山頂があった.
 ルートはグランド火口の間は細かなレキが踏み固まった歩道.薄まってはいるが、火山特有の臭気が鼻に届く.先ほど見 えていた縦縞と同様、両側を侵食され細くなった砂地を辿っていくと、そのままレキの転がる急なのぼりに変わり、そして山頂 に達した.残念ながら、曇り空の下、眺望は望めなかった.
十勝岳 (気象庁のページ)
美瑛模範牧場
Tokachidake map
登山コース
少し無理をすれば美瑛岳の縦走も可能なようだが、 日帰りで登るとなると、望岳台から往復するのが一般的なようだ.望岳台はバスでいけないので、公共交通機関をしようする場合には 白金温泉から歩くことになり50分ほどを要する.白金温泉バス停から少し歩くと、白樺荘があって(ここにも臨時バス停がある)その向かいが 白金コースの入口になっている.このコースは急なのぼりが続くスキー場のスロープ跡.細い車道を横切ると、望岳台に向かう車道が接近し てきてまもなく望岳台に達する.この他に、うぐいす谷の遊歩道というのが、白金温泉から続いていてアプローチに利用できそうだ.
往路
白金温泉 40分→望岳台 55分→非難小屋 50分→すり鉢火口 40分→山頂
復路
山頂 40分→すり鉢火口 45分→非難小屋 45分→望岳台 35分→白金温泉
火口原歩道
グランド火口脇の歩道
対岸の四角形の緑地は美瑛模範牧場
望岳台
ガスが晴れると下に望岳台が見えていた.
望岳台
望岳台
写真館
美瑛岳 十勝岳
美瑛岳と美瑛富士
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十勝岳
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白金温泉 美瑛は、丘のまちとして有名であるが十勝岳をはじめとする山々のあるのも美瑛である. 白金温泉は、市街地から美瑛川を東に遡った先にあり、望岳台を経由して吹上温泉に向かう十勝岳観光の入口となっている.白金温泉バス停の向かいには、美瑛観光協会の案内所(白金観光センター. Phone 0166-94-3025). 公共交通機関:道北バスが旭川駅前から白金温泉行きを運行.このバスは 美瑛駅前も経由する.
 白金橋と白ヒゲの滝. 白金温泉バス停から見える白いトラス橋が白金橋で、橋を渡った先には樹脂製のシェルターに覆われた階段が 丘の上の火山砂防情報センターに続いている.いつまた大規模な噴火があってもおかしくない.もし、ひとたび大きな噴火があれば、それは防災マップに 記されているように、多くの観光客の訪れている望岳台あたりだって溶岩が流れこむことになるだろうし、猛スピードの火砕流はもっと先まで達するこ ともあるのかもしれない.ここは、そんな非常事態の非難路でもある. 尻無沢川が美瑛川の深い谷に落ちる場所に、白ヒゲの滝という名の滝が懸かっている.
白ヒゲの滝
十勝岳火山砂防情報センター 開館時間 8:30〜17:00(5月から10月).10:00〜16:00(11月から4月).休館日:火曜(11月から4月のみ).Phone 166-94-3301
十勝岳火山砂防情報センター
白金橋 十勝岳火山防災センター
白ひげの滝 白金橋 火山砂防情報センター
硫黄橋 白金温泉よりみた山々.
硫黄橋からは美瑛富士、美瑛岳、十勝岳が展望できる.ここからみた十勝岳は、山頂と噴煙をあげる前十勝が左右に並んで見える. 硫黄橋の手前からは、オプタテシケ山も車道の正面に見えている.
キャンプ場
国設白金野営場
開設期間:6/1〜10/31.
利用料金:テント持込大人250円 小学生以下150円
問合せ先:美瑛町商工観光課 0166-92-4321
Biei Fuji Bieidake Iohbashi
美瑛富士 美瑛岳
オプタテシケ
美瑛からみたオプタテシケ山から美瑛富士
十勝岳
美瑛富士から十勝岳
Informtion
四季の搭 美瑛町役場
美瑛
okanomachi
 美瑛町 
Web http://town.biei.hokkaido.jp/

 美瑛町観光協会 
Webhttp://www.biei-hokkaido.jp/

北海道 Hokkaido 道央 allternative-tourism.com