知床縦走 二つ池から硫黄山
1997年8月30-31日
Okkabake dake and Sashirui dake南岳からのオッカバケ岳とサシルイ岳
 昨夜は熊におびえながらも、疲れていたからぐっすり眠れた。快適な出発だ。まずは平凡な道のりが続く。南岳に登り昨日歩いた道筋をふり返る。
Chienbetu dake知円別岳付近
知円別岳は硫黄岳を取り巻く外輪のピークの一つだ。地図を広げるともう縦走の終わりも近づいたように思えたのだが、今までの平凡な山道にくらべると、ここから先が最も困難を伴う核心部であった。
こけし岩 白色の尾根とこけし岩
 羅臼岳からも見えていた白色の尾根部分に達した。岩塔が並ぶこけし岩を中央挟むいかにももろそうなやせ尾根である。 背についている細い踏跡、その両脇は下の沢まで一気に落ちている。変に力をかけたらそのままくずれ落ちていきそうな感じがして気を抜けない場所だった。後ろのピークの先に、硫黄 山も見えている。リュックを下ろし荷物のバランスを整えてから、足を踏み入れた。
こけし岩こけし岩
 2つの白い尾根の真ん中のそびえる奇妙な岩塔群はこけし岩だ。ここは大変悪路で、岩をよじ登ってこえる。しかも下は90度切り落ちていて恐ろしい限りであった。越えるにはちょっと度胸がいるけれど ここまで来て今更もどることもできないから先に進むしかない。
硫黄山 白色尾根の上
足元が崩れていきそうな気さえして、一刻もはやく抜けてしまいたい感じだが、写真に残しておきたい。立ち止まり恐る恐るカメラを持ち上げた。
知床硫黄山_8硫黄山
 見事な釣り鐘型の頂上が見えている。最後の仕事はこの釣り鐘をよじ登ることである。
知床硫黄山山頂分岐硫黄山頂上への分岐
 山頂部の登口には赤ペイントの印がつけられている。 山頂へは、脆く崩れやすい場所をはい登らならければならない。
知床硫黄山 三角点標石硫黄山頂上
 釣り鐘をよじ登ると山頂に出た。標高は1562メートルあって、半島の山としては意外な高さだ。少しだけ広さがあって三角点の標石が乗っている。 まだ人跡未踏に近い時代、ここへ登り標石を取りつけるのは大仕事であったことだろう。
硫黄山より知床岬頂上からの知床岬方面の展望
硫黄山から岬の先端までは低い山が続いている。硫黄山は、半島全体ではまだ中間地点にすぎないのであるが、ここから見下ろすと 先端にいるように見える。先には知床岳という1254メートルの山もあるようで、一度冒険をかねて登ってみたい山だ。
硫黄沢 3硫黄沢沿いの下山路
 下山路は、硫黄沢に沿って下っていく。登山道といっても水の枯れた沢底で、バスの時間も迫っているから一気に走り降りた。 有名なカムイワッカ湯の滝の少し先の車道に達するルートで、硫黄山もこちらから日帰りで登るようで、ときどき登山者に対面した。
 沢から這松帯にあがると、熊が出てきてもおかしくない雰囲気で緊張するし、噴気口の並ぶ一帯は汗だくになるほど熱かった。 この縦走は、最後の最後まで野趣あふれる旅であった。


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